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製造業のサステナビリティ対応の悩みを旭化成が解決します
2022.12.06
技術・製品紹介
旭化成では、カーボンニュートラルと資源循環型社会の実現に向けたビジネス展開に積極的に取り組み、経済性と社会貢献の両立にチャレンジしています。
2021年に、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)樹脂「ザイロン™」(以下:ザイロン™)から、資源循環型社会の実現に向けたへの本格的な取り組みを開始。認証バイオPPEやリサイクルグレードも発表しました。
さらに、2022年は旭化成の資源循環型社会への取り組みをより加速し、ザイロン™だけではなくポリアミド(PA)樹脂「レオナ™」(以下:レオナ™)とポリアセタール(POM)樹脂「テナック™」(以下:テナック™)におけるサステナブルグレード開発を本格化。ザイロン™についても、サステナブルグレードのラインアップを拡大していきます。併せて、「クローズドリサイクルスキームサービス」、「カーボンフットプリント算出サービス」など、製造業のお客さまのサステナビリティ対応を支援するサービスや新しいビジネス体系も提供してまいります。
日々、当社にもお客さまからカーボンニュートラルと資源循環型社会実現に向けたサステナビリティ対応についてご相談をいただく機会が増えています。お客さまが特に悩んでいる課題は、大きく以下の2つに分けられます。
過酷な使用環境で使用されることが多い工業製品では、雑貨や汎用製品に採用する時と比べ、より高い耐熱性や機械的特性(強度・剛性・摺動など)が求められます。廃棄になった樹脂を再資源化(PCR:ポストコンシューマーリサイクル)しようとすると、樹脂が物性劣化してしまい、素材の耐久性に課題が生まれます。また認証取得が必要となる工業製品では、再生素材を簡単に選定することができません。
とくに近年、急激なサステナビリティ対応の重要性が高まり、お客さまもそのニーズに素早く対応するための変化が求められています。しかしながら、多くのお客さまが、「一体、何が自社のビジネスにとってのサステナビリティ対応となるのか」など迷っていらっしゃるようです。今、サステナビリティ対応関連は黎明期ということもあって、巷に情報があふれかえる状況で、混乱も生じている状態であると考えられます。
これら製造業のお客さまのお悩みを解消すべく、旭化成ではこのようなソリューションをご提案します。
旭化成では、m-PPE樹脂 ザイロン™、PA樹脂 レオナ™、POM樹脂 テナック™といった主力エンプラを中心に、PIR樹脂、PCR樹脂を活用したグレード、バイオ認証プラと、幅広く具体的なサステナビリティ対応製品群を、製造業のお客さまにご提供します。
PA樹脂は自動車業界で多用されており、市場からサステナビリティ対応の要望が非常に多い素材です。顧客ニーズの変化を捉え、旭化成のPA樹脂であるレオナ™でもPIR(ポストインダストリアルリサイクル)グレードの開発を本格化しました。レオナ™のPIRグレードは、工場廃材の再資源化という「環境配慮」の側面とPCR樹脂にくらべ安定した物性を保てる「機能性」のバランスがいい所が特長です。高い信頼性を求められる工業用途の部品に提案を検討していきたいと考えており、バイオ材などに比べると、バージン材からの価格アップ幅は比較的、抑えられるというメリットもあります。
さらにPCR樹脂を用いれば、PIR樹脂を用いた際よりも環境貢献度が高くなります。雑貨や汎用品によく使われる廃プラスチックを原料にしたRPS(リサイクルPS)やRPET(リサイクルPET)などの再生資源を有効活用することで、石化資源の消費抑制につながります。m-PPE樹脂 ザイロン™では、PCRグレードを備えています。ザイロン™は、ポリマーアロイ樹脂であるため、ブレンド材となる副原料のプラスチックを比較的に柔軟に選べます
旭化成のアロイ技術を駆使し、PCR由来のRPSやRPETとアロイすることで、高スペックな機能とPCR樹脂採用の両立を可能としました。2021年から手掛けてきた当該開発品は、2022年度に2グレード上市します。
太陽光発電ジャンクションボックスサンプル(ザイロン™ RPSグレード)
金属インサートファンサンプル(ザイロン™ RPETグレード)
他にも、POM樹脂 テナック™やm-PPE樹脂 ザイロン™では、認証バイオ品の対応も着手しています。こちらはマスバランス方式※を採用し、認証バイオメタノールや認証バイオフェノールを原料としています。
※バイオマス原料などと化石燃料由来の原料を混合供給し製品を製造した際、投入したバイオマス原料などの割合に応じて、「バイオマス由来製品」の生産量を割り当てる方式。ISCC PLUS認証システム文書に定められ、認められた管理方法です。
POM樹脂 テナック™は、当社水島工場や国内加工場にて2022年11月「ISCC PLUS認証(国際持続可能性カーボン認証)」を取得し、2023年度から量産可能な状態に持っていくことを目指しています。認証バイオプラであるため、物性は化石資源由来の従来と同等です。PIRやPCRが難しいとされてきたPOMでもサステナビリティ対応に取り組むことが可能です。
m-PPE樹脂 ザイロン™では、主原料であるPPEについて当社シンガポール工場にて2022年9月ISCC PLUS認証を取得いたしました。2023年度以降はコンパウンド加工場も含めた取得を計画しており、アロイグレードでの対応を目指しています。こちらについても、物性は化石資源由来の従来材と同等です。工業製品特有の機能性を落とすことができない用途(製品の第三者認証が必要、高性能が要求される部品など)でもサステナビリティ対応に取り組むことができます。
旭化成ではバイオ、PIR、PCRまで幅広く対応するエンプラ開発を行っており、日々多くのお客さまにヒアリングする中でさまざまな課題を聞いています。現場で積み上げている知見を活かし、お客さまに寄り添ったサステナビリティ対応の具体的な取り組みをご提案可能です。
これまでの廃プラスチック問題は汎用プラスチックであるPS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)を用いた使い捨て製品にフォーカスされていた。ところが2020年ごろから、欧州をはじめとする経済先進国の事務機器メーカー、電気・電子メーカー、自動車メーカーを起点に、エンプラにもサステナビリティ対応を求める声が広がっている。
世界の製造業各社が、サステナブルな製品を開発するにあたり、次のような課題に直面している。まず、製品にリサイクル材料を採用する際、リサイクル材料の性能がバージン材料(=非リサイクル材料)と比較して劣る点が課題となる。特に加水分解しやすい素材ではリサイクルした際の物性劣化が大きく、リサイクル材料の採用で製品としての耐久性を損なう恐れがある。
次に、リサイクル材料を採用するにあたり、原料の品質担保が課題となる。現在、実用化されている樹脂のリサイクルの仕組みの多くは「オープンリサイクル」であり、特にPCR材料については市場から回収された原料を使用するため、品質の安定性を保証しにくいと考えられる。
そして、製品に採用する材料のCO2排出量も考慮すべき課題となる。以前から環境問題への関心が高い欧米各国のほか、日本においても政府が環境問題対応強化のメッセージをかなり強く打ち出していることから、製造業に対するCO2削減へのプレッシャーがより高まっている。今後、材料選定の際には、CO2削減に関する指標が重要視されるようになると言われている。