お客様の課題に挑む！営業チームの解決への道筋　Part 1

旭化成のエンジニアリングプラスチックには、ものづくりの現場で設計や開発に携わるお客様から、製品の課題について日々さまざまなご相談をいただいています。私たちはこのようなお客様それぞれの声に耳を傾け、解決策をご提供しつづけています。

今回は、当社の主要なエンプラ製品の1つである変性PPE樹脂「ザイロン™」の営業を担当する下尾、山田の2名が、どのようにして実際にお客様の声に応え、課題を解決しているのか、その体験談を通じて詳しくご紹介します。

限られた試作コストの中で部品設計の課題を克服CAE解析による設計課題の解決と量産までの一貫したサポート

用途＝車載カメラ／提案グレード＝ザイロン™ XP640・樹脂CAE解析

ザイロン™ XP640を総合的に上回るグレードがご提案できないことから、部品設計の変更を提案しました。しかし、部品設計変更のための金型改修には高いコストが伴うため、何度も繰り返すことはできません。そこで私は、低リスクで効果的な金型改修を実現するために、当社の樹脂CAE解析（コンピュータシミュレーションによる設計支援）を併せてご提案しました。

流動解析を実施したところ、割れ箇所にウェルドラインの発生は見られなかったものの、流動方向のガラス繊維配向が高く、特に流動直交に負荷がかかる際に割れの可能性が示唆される結果となりました。この結果に基づき、均一充填されるようゲートを変更したところ、加工時の割れを解消することに成功しました。

この事例のように、私たちは、材料のご提案だけでなく、部品・金型の設計から試作、量産まで、お客様の製品づくりを一貫してサポートしています。これからも、幅広い視点からのソリューションをご提案し、課題解決に向かって妥協なく取り組みたいと思います。

サステナブルで高機能なグレード開発を短納期で実現ザイロン™初のPCR化材料開発と供給スキームの早期構築

用途＝インバータ／提案グレード＝ザイロン™ R540Z

開発段階では、PCR化により、既存グレードよりもシャルピー値が大幅に低下するという課題がありました。そこで、シャルピー値の改善と耐熱性のバランスを考慮した数点の処方をご用意することにしました。

具体的には、少し余裕のあるDTUL値（熱変形温度）を下げながら、シャルピー値をコントロールする処方を提示しました。耐熱性がやや落ちることを許容しつつ、お客様のスペック要件をできるだけ満たすため、細かい調整を行ったのです。そして、この複数の処方の中から、お客様による耐衝撃試験の結果、良好な成績を収めた材料が採用されました。

現在、ザイロン™ではPCR材の開発に一層注力しています。特に、品質の高いPCR原料のスクリーニングとソースの確保に努めています。今後もグローバルなサステナビリティニーズに応え、お客様それぞれに最適なPCR材の開発と安定供給に力を注いでまいりますので、ぜひ、お気軽にご相談いただければと思います。