「旭化成ヨーロッパ発『バッテリープロジェクト』 」
インタビュー
2025.02.07
技術・製品紹介
旭化成のセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂は、高耐熱のCNFを各種エンジニアリングプラスチックと複合化(コンポジット)した材料です。
親水性が高く、凝集しやすいCNFに対し、旭化成ではCNFを樹脂にナノ分散させる技術を開発しており、CNF製造からCNFコンポジットまでの一貫製造プロセスを特徴としています。
旭化成のCNFは、コットンリンターを原料とする高耐熱なバイオマスフィラーであり、樹脂と複合することにより、高弾性率、低線膨張率、低摩擦係数、低摩耗性など、優れた特性を備えています。
旭化成のCNF強化樹脂の特長
旭化成では、以下の特長を活かして3Dプリンター向けのCNF強化樹脂を開発しています。
CNFを樹脂にナノ分散させる旭化成の技術によって、せん断速度が大きいと粘度が低下して流動性が高まり、せん断速度が小さい場合やせん断を取り除いた後は粘度が上がって固体状になる性質である「チキソトロピー性」を発現します。
材料押出(Material Extrusion)方式の3Dプリンターでは、フィラメントが管路を通ってノズルから吐出される際は流動し、積層後はすぐに固化する性質が求められます。そのため、このチキソトロピー性の高い材料が適しています。
旭化成の3Dプリンター向けCNF強化樹脂のチキソトロピー性
CNFは炭素繊維(CF)やガラス繊維(GF)よりも柔らかく、微小な繊維のため、ノズル摩耗・ノズル詰まりを起こさないフィラーです。このため、通常、繊維強化樹脂で必要とされる強化ノズルへの交換が不要です。
旭化成では、3Dプリンター向けに「PA/CNF強化樹脂(フィラメント・ペレット)」と「SEBS/CNF強化樹脂(フィラメント・ペレット)」を開発しています。
PA/CNF強化樹脂は、ポリアミドにCNFを5~10%含有した、低反り、寸法精度、外観、強度、耐熱性、柔軟性に優れたエンジニアリングプラスチックです。
旭化成の3Dプリンター向けPA/CNF強化樹脂は、ノズル吐出時の高流動性のため、積層間の密着性に優れ、造形物に力を加えたときに層同士がはがれにくいという特長があります。また、ペレット式造形機での造形も可能で、大型品であっても反りの影響が小さい材料です。
3Dプリンター向けPA/CNF強化樹脂(開発品、フィラメント・ペレット)の造形例
旭化成は、ポリアミドにセルロースナノファイバーを7%含有した、寸法精度、低反り、強度、耐熱性に優れたフィラメントである「DX101」と、ポリアミドにセルロースナノファイバーを5%含有した、柔軟性、外観、耐熱性に優れたフィラメントである「BX102」の2つのグレードを開発しています。
3Dプリンター向けPA/CNF強化樹脂(開発品) グレード紹介
SEBSは軟質材料で、優れた耐候性をもつ材料です。CNFを添加することで、造形困難であったSEBSの造形が可能になります。
旭化成の3Dプリンター向けSEBS/CNF強化樹脂は、低反り、寸法精度、柔軟性、耐加水分解性に優れます。さらに形状設計によって幅広く柔らかさを表現できる材料です。また、ペレット式造形機で大型品も造形可能です。
3Dプリンター向けSEBS/CNF強化樹脂(フィラメント・ペレット)の造形例
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