活用提案
機械的、電気的特性、難燃性
ザイロン™ 耐油難燃グレード PP+PPEアロイ 「ザイロン™ TF701」は、難燃PS+PPEグレードと同等の難燃性・機械的特性を有しながら、低比重かつ電気的特性に優れています。
変性PPE樹脂ザイロン™ は、PPEに由来する耐熱性、低比重、難燃性などの長所を活かして、車載バッテリーおよびその周辺用途に採用されてきました。ただし、バッテリー用途では低比重・難燃性と同時に各種オイルに対する耐油性が求められ、非晶性樹脂であるPPEに対する改善要求となっていました。
この要求に対して、旭化成は独自の相溶化技術と難燃化技術によって課題解決を行い、結晶性樹脂であるポリプロピレン(PP)とアロイ化することで耐油性を付与し、非ハロゲン系難燃で高度な難燃性(UL94 V-0, 1.5mm厚)を併せ持つPPアロイグレード ザイロン™ TFシリーズを開発しました。
ザイロン™ 耐油難燃グレード PP+PPEアロイ 「ザイロン™ TF701」は、難燃PS+PPEグレードと同等の難燃性・機械的特性を有しながら、低比重かつ電気的特性に優れています。
耐油性の指標として、臨界歪み量の評価を行いました。下図で示す、歪みが連続的に変化するように設計されたベンディングバーに試験片をセットし、試験片表面に対象の薬品を塗布し、割れの発生する最小の歪量(臨界歪み)を測定しました。
ザイロン™ TF701のエンジンオイル、ブレーキフルード、潤滑油に対する臨界歪み量を表に示します。ザイロン™ TF701は難燃PS+PPEと比較して臨界歪み量が大きいことから、これらの油類と接触する可能性がある用途にも用いることが可能です。
射出成形時の成形加工性の指標として、スパイラルフロー金型を用いた流動性評価を以下に示します。金型温度80℃、最大射出圧力50MPaに設定し、各シリンダー温度で評価した結果、同等の難燃性を有するPS+PPEと比較し、ザイロン™ TF701は優れた流動性を有しています。また、想定用途として、車載バッテリーのセル間スペーサーを模した、薄肉成形品 (100mm*100mm*0.4mmt)も通常の射出成形において得ることができました。一般的に、車載電池は搭載できる空間が限られているため、省スペースの観点でスペーサーの厚みは薄い方が好ましいと言われています。
成形性において、反りが小さいことも重要です。反りが大きいと、組み立て時に干渉してしまうことが問題になりうるためです。以下図に、150mm*150mm*2mmt平板を成形した際の反り量を示します。難燃PPと比べ、ザイロン™ TF701は優れた低反り性を有することがわかります。
耐熱エージング性(80℃環境)をシャルピー衝撃強度の保持率で評価した結果を下図に示します。ザイロン™ TF701は3,500時間経過後も80%以上の保持率を有しており、高温環境下に晒される用途においても、長期間物性保持が可能です。
また、同様に湿熱環境(85℃, 85RH%条件下)でのエージング性を同様にシャルピー衝撃強度の保持率で評価しました。下図に示すように、ザイロン™ TF701の保持率は高く、優れた耐湿熱性を有していることがわかります。
PP等のオレフィン系樹脂の一部では、銅等の金属との接触環境下において、酸化劣化が促進されて物性が低下するという銅害現象が知られています。そこで、銅箔を巻き付けた試験片の150℃環境下でのエージング性(耐銅害性)を、引張強度の保持率によって評価しました。下図に示すように、難燃PPでは500時間経過後から急激に引張強度が低下し始めるのに対し、ザイロン™ TF701では1,000時間経過後も80%以上の引張強度保持率を示しました。銅等の金属と接する環境下においても長期に安定した物性を維持することができます。
例えば、車載バッテリーにおけるバスバーカバー(銅等の金属製のバスバーを感電や短絡防止のために保護する部材)において、ザイロン™ TF701は低比重や耐トラッキング性、難燃性だけでなく耐銅害性を有することから本用途に適していると考えられます。
EVバッテリーのセル間を仕切る絶縁部品。
薄肉・軽量性・難燃性等が求められる。
EVバッテリーの高圧大電流が流れる導体の絶縁保護カバー。
電気に対するトラッキング性が求められる他、難燃性、耐熱性等も求められる
LEONA™ SN11B
XYRON™
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