Summary

  • CFP(カーボンフットプリント)とは、製品やサービスの、原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出された温室効果ガス(GHG)の排出量を合算し、それをCO₂排出量に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みです。
  • CFPを算定する主な目的は、CO₂排出量を可視化し、削減に向けた具体的な施策を検討するためで、近年の脱炭素やカーボンニュートラルの要請の高まりを背景に、あらゆる産業で重要性が増しています。
  • 旭化成は、エンジニアリングプラスチックの製品グレードごとのCFPを算出する基盤の開発を、2021年7月から株式会社NTTデータと共同で開始しました。2022年5月から、お客さまへのCFPデータの提供を開始しています。

旭化成からのご提案

CFP(カーボンフットプリント)とは

CFP(カーボンフットプリント)とは、Carbon Footprint of Productsの略称で、製品やサービスの、原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出された温室効果ガス(GHG)の排出量を合算し、それをCO₂排出量に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みです。

CFP(カーボンフットプリント)を算定する目的

CFPは、近年の脱炭素やカーボンニュートラルの要請の高まりを背景に、あらゆる産業で重要性が増しています。CFPを算定する主な目的は、CO₂排出量を可視化し、削減に向けた具体的な施策を検討するためです。

サプライチェーン全体で協力し、CO₂排出量の削減を実現するためには、現状の排出量を把握することが必要です。世界各国や企業では気候変動対策としてCO₂排出量の算定が求められており、これが取引の前提条件となるケースも増えています。また、CFPを消費者に対して公開することで、消費者自身が自らの生活を低・脱炭素化するための情報を得ることができます。

CFP(カーボンフットプリント)の算定方法

CFPの算定方法は次の通りです。まず、原材料やエネルギーなどのCO₂排出量を求めます。これは、各項目の活動量(どのくらい使ったか)に対して、その排出原単位(単位当たりでどれだけCO₂を出すか)を掛けることで算定します。この各項目のCO₂排出量をすべて合計することで、最終的な製品やサービスのCFP値を求めます。

なお、CFP値は製品やサービスが対象であり、1商品、kg、m²など、単位あたりのCO₂排出量で表示されることが一般的です。

CFP(カーボンフットプリント)の算定方法

CFPの算定方法

■CFP(カーボンフットプリント)の算定ルールについて

CFPの算定には、国際的な温室効果ガス排出量の算定・報告の基準である「GHGプロトコル」や、それをISO化した「ISO14067」といった国際ルールが存在しています。

CFP(カーボンフットプリント)の算定ルール

CFP算定の標準・規格 (経済産業省の資料を参考に弊社にて作成した図)

ただし、これらはいずれも総則的な内容であり、具体的な算定方法は算定者が設定します。

■CFP(カーボンフットプリント)の分類・算出範囲について

CFPは、下記のように、目的に応じてスコープ・範囲を限定して算定することもできます(Partial-CFP、部分的CFP)。

CFPの分類・算出範囲

  • Gate-to-Gate:製品の生産工程のみに焦点を当て、生産工程における環境負荷の特定と改善の効果を評価する場合に使用します。原材料採取や製品の使用・廃棄に関する環境インパクトは評価されず、サプライチェーン全体の環境負荷を把握することはできないため、持続可能なサプライチェーン構築には他の分析手法と併用する必要があります。
  • Cradle-to-Gate:原材料の調達から生産、流通・販売までを評価対象としています。納入原材料の環境負荷を把握する場合に有効です。原料ごとの環境負荷の比較や、原料を変えたときの評価が可能であり、持続可能なサプライチェーンの構築に役立ちます。(製品の使用・廃棄 は考慮しません。)
  • Cradle-to-Grave:原材料採取から製品の使用・廃棄まで、ライフサイクル全てを対象にしたCFPです。
CFP(カーボンフットプリント)の分類・算出範囲

CFPの分類・算出範囲 (経済産業省の資料を参考に弊社にて作成した図)

<コラム CFP算定とGHGプロトコル上のScope1, 2, 3 算定の違い>

CFPでは「製品」のGHG排出量を、GHGプロトコル上のScope1, 2, 3では「組織」のGHG排出量を算定します。GHGプロトコルでは、温室効果ガスの排出量が以下の3つのスコープに分類され、サプライチェーン全体におけるCO₂排出量は、これらの各スコープの排出量の総量となります。

GHGプロトコル上の各スコープ

  • Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
  • Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
  • Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

CFPと Scope1, 2, 3 算定の対象表

CFPと Scope1, 2, 3 算定の対象表 (経済産業省の資料を参考に弊社にて作成した図)

旭化成からのご提案

エンジニアリングプラスチック材料の製品別CFP(カーボンフットプリント)データの提供

旭化成は、エンジニアリングプラスチックを対象に、製品グレードごとのGHG排出量を把握してCFP(カーボンフットプリント)を算出する基盤の開発を、2021年7月から株式会社NTTデータと共同で開始しました。2022年1月には、基本機能が完成し、現場へのインプットトレーニングやデータ精度の検証を行い、2022年5月から、お客さまへのCFPデータの提供を開始しています。

特長1:調達原料から輸送、外注加工、自社製造・出荷までのGHG排出を網羅

上流にあたるサプライヤーから仕入れた原料別CFPに、外注加工や自社の製造プロセスで発生したGHG排出を配分し加算することにより、サプライチェーン上流から製造・出荷までのプロセスを網羅したCFP(Cradle-to-Gate)を可視化できます。(原料CFPの算出には、国立研究開発法人産業技術総合研究所が提供するLCIデータベース「IDEAv2.3」等の二次データも利用しています。)

サプライチェーン上流から製造・出荷までのプロセスを網羅したCFP(Cradle-to-Gate)を可視化

サプライチェーン上流から製造・出荷までのプロセスを網羅したCFP(Cradle-to-Gate)を可視化

特長2:製品グレード別のCFP算出が可能

豊富なグレードラインナップ、グローバルな生産を特徴とする旭化成のエンジニアリングプラスチックの複雑なサプライチェーンを網羅しており、お客様ごとに、ご使用のグレード別でのCFP算出が可能です。

上記1,2の特長により、中間品メーカーのお客様などへ、Scope1,2,3を網羅した製品ごとのCFPを提供できます。また、製品×製造プロセス別に排出量を可視化することで、製造プロセスごとの効果的な削減施策の検討も可能になります。

製造プロセスを網羅した最終製品別のCFP(カーボンフットプリント)管理イメージ

製造プロセスを網羅した最終製品別のCFP管理イメージ

特長3:経営情報と組み合わせて、価格とCFPの二軸での分析を実現

経営情報基盤を拡張してCFPの算出を実現したことにより、「最終製品別」や「お客さま別」などのさまざまな視点で、価格とCFPのバランスを考慮した材料のご提案が可能です。


ご興味をお持ちいただけましたら、是非お気軽にご連絡ください。

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