優れた強度・衝撃性の複合材料
c-GFRTP

概要と特長
レンセン™(c-GFRTP、連続繊維強化複合材料) レンセン™(c-GFRTP、連続繊維強化複合材料)

レンセン™(c-GFRTP)とは

「レンセン™」は、連続ガラス繊維の織物とポリアミド66(PA66)のフィルムを積層させた旭化成の連続繊維強化複合材料です。

連続繊維強化複合材料は、ガラス繊維の織物などに熱可塑性樹脂を含浸させて固めた板状の成形材料で、コンポジット材料と言われることもあり、欧州ではオルガノシート、プリプレグ(Prepreg)などとも言われます。
英語ではContinuous Glass Fiber Reinforced thermoplastic の頭文字をとってc-GFRTPと表していますが(最初のcは小文字)、他にもGFRTPやGFRPなどの表記もあります。

レンセン™

レンセン™(c-GFRTP)の特長・製造方法

連続ガラス繊維の織物とポリアミド66(PA66)のフィルムを積層させたプリプレグ「レンセン™」の特徴、製造方法をご紹介します。

軽量かつ高物性

自動車の更なる軽量化を実現するため、樹脂とガラス繊維の界面強度発現のメカニズムを研究し、高強度、高剛性、高衝撃性を向上させる技術を開発しました。

「レンセン™」は、金属に対しても同等以上の引張強度と衝撃吸収性を有する事から、衝突安全性の向上や軽量化効果を得ることが期待でき、信頼性や燃費向上にも貢献できる材料として提案していきます。

切削、高荷重研磨後の断面SEM写真

製造方法

「レンセン™」は次のように作ります。

1.ガラス繊維織物と樹脂フィルムを必要枚数重ねる(積層)
2.プレス機で熱と圧力をかけ樹脂を溶融させる(加熱・加圧)
3.溶融した樹脂をガラス繊維間に染み込ませる(含浸)
4.冷却して樹脂を固化させて板状の成形基材を製造する

また、PA66は熱可塑性樹脂のため、「レンセン™」は同種材による射出成形との複合化が可能です(プレス+射出ハイブリッド成形)。これによりリブやフランジなどの複雑形状が形成でき、部品の剛性向上や周辺部品の統合による部品のコストダウンの可能性があります。

【プリプレグとは】
含浸を英語でインプレグネイション(Impregnation)と言い、製造された板状の成形基材をプリプレグ(Prepreg)やオルガノシート(Organo sheet)と呼びます。
プリプレグを構成する材料には多数の組み合わせがあります。樹脂フィルムにはポリアミドやポリプロピレンのような熱可塑性樹脂のほかに熱硬化性樹脂も使われます。強化繊維にはガラス繊維や炭素繊維などが使われ、繊維の形態には連続した繊維の織物や一方向に揃えたもの(UD)、不連続の繊維による不織布(ランダム)などがあります。

レンセン™(c-GFRTP)の活用提案

01

バッテリーケースへの活用

EV車のバッテリーケースには鉄やアルミなどの金属が主に使われ、走行距離延伸のために軽量化が求められる一方、樹脂化検討には電池の連続爆発時に耐えうる高い難燃性とコスト削減が課題になっています。

「レンセン™」は、
1.比重が鉄の約1/4と軽量です。
    (比重:レンセン™ 1.9 鉄 7.9 アルミ 2.7)
2.1000℃×30分の燃焼試験で穴あきがありません。
3.鉄製の筐体に必要な部材の統合や削減が可能でコスト上昇を抑えられます。
  ■アッパーカバー:防錆塗料や断熱材削減の可能性
  ■ローワーケース:アンダーカバー削減の可能性

レンセン™1000℃×30分の燃焼試験
▲レンセン™は1000℃×30分の燃焼試験で穴あきがありません
02

バンパービーム・ブレーキペダルへの活用

バンパービームやブレーキペダル等の部品には、鉄やアルミなどの金属が使用されており、軽量化出来る可能性が多く残されています。

これらの部品には、強度、剛性、衝撃吸収性、耐久性に優れた材料が必要であり、それらの特徴を兼ね揃えた「レンセン™」が適していると考えています。

鉄製バンパービームには曲げ加工や別部品との溶接等の後加工が必要になりますが、本材料で一体成型する事によって軽量化に加え、工程数と部品点数を削減出来る可能性があります。

レンセン™の強度、剛性、衝撃吸収性、耐久性
▲レンセン™は強度、剛性、衝撃吸収性、耐久性に優れます

レンセン™(c-GFRTP)に関するご質問・ご相談・サンプルのご依頼をお待ちしております。

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